東日本大震災など遠方の地震によりタワマンや高層ビルが長周期振動にて被害が確認されたため、2024年4月より長周期地震動の新基準が施行されました。
「長周期地震動」の新基準と旧基準
「長周期地震動」の新基準と旧基準

長周期地震動とは?
長周期地震動は、周期が2秒以上のゆっくりとした揺れです。超高層ビル(タワーマンションなど)や大型構造物、石油タンクなどに大きな影響を与えます。
旧基準(~2024年3月頃まで)
対象施設:主に超高層建築物(高さ60m以上など)を中心に、個別評価。
設計方法:通常の地震動設計に加えて、必要に応じて「任意」で長周期地震動を考慮。
リスク評価:長周期地震動に対する構造の応答解析は、必ずしも義務ではなかった。
新基準(2024年4月施行)
建築基準法施行令等の改正により強化
対象の拡大:
高さが一定以上の超高層建築物だけでなく、
地下空間、ホール、タンク、制震・免震建物なども対象。
必須の対応:
長周期地震動に対する応答解析が原則義務化。
特に「告示で定める建築物」は、設計時点で長周期地震動レベルL1・L2に対応した構造計算が求められる。
設計レベル:
**レベル1地震動(中地震)とレベル2地震動(大地震)**の双方に対応。
レベル2では大規模地震でも倒壊しない性能を求められる。
違いまとめ
【項目】旧基準/新基準(2024年〜)
【対象】主に超高層建築/幅広い構造物に拡大
【長周期地震動の考慮】任意(設計者判断)/原則義務化
【対応方法】応答解析は選択制/応答解析が必須
【設計基準】通常の地震動中心/長周期L1/L2に対応
背景
東日本大震災(2011年)などで、東京・大阪の高層ビルが長周期地震動で大きく揺れた事例。
その後、国土交通省や建築学会が調査・解析を進め、2024年に法令改正。
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